秋の日記

いつだって秋。

不審者と肉食

こんばんは。

最近、アイデアだけ溜めて書いていないことが多いので、どんどん書いていこうと思います。

突然ですが、皆さんは不審者認定されたことがありますか?

私はあります。でも変なことはしてません。

そしてなんでそんなことを思い出したかと言うと、だいぶ前に友人にお勧めされて漫画BEASTARSを読んだからです。

BEASTARS 1 (少年チャンピオン・コミックス)
 

 この漫画の中には動物と人間の間の様なキャラクターたちがたくさん出てきます。主人公のこの狼(レゴシ)は肉食動物ですが、彼が通っている学校には草食動物もおり、互いの身体的な強さの違いを感じながらも共存しています。

しかし、その共存にはしばしば緊張が伴います。

例えば、肉食動物の生徒が草食動物の生徒と戯れていると思わぬ大怪我をさせてしまったり、草食動物の生徒は肉食動物と2人っきりになることにどうしても緊張してしまったり、また、肉食動物同士でも体の大きさや強さによって微妙なヒエラルキーがあります。

端的に言うと、狼であるレゴシはどんなに優しくても常に「加害者」になれるのです。

不審者の話に戻りましょう。

大学生の時、私はサークル活動の為、小学校に体育館の鍵を借りにいきました。そして、その帰り道、大きな坂に差し掛かってちょっと疲れたのでしばらく休憩して帰ると、翌日、私は校長室に呼び出されていました。

ことの顛末としてはこうです。

ある児童から「背の高い男(私)につけられ、走って家に逃げたにも関わらず、家の近くのベンチでしばらく待ち伏せをされた」という通報があった。刑事事件の可能性も考えたが、一度、本人に確認を取ろうと君(私)を呼んでみた。

幸いにも、何とか無実を証明できました。

しかし、それは私が何度かその小学校を訪れていて、先生とも良好な関係を築いていたからこその無実であって、初見では警察沙汰になってもおかしくないと思います。

そして、その児童の反応も概ね間違っていません。少しでも怪しいと思ったら逃げた方が良いし、学校にも言った方が良い。

なぜなら、私は「加害者」になれたからです。

通報した子のことを私は全く記憶してないのですが、きっと私は彼(彼女)より大きいし強い。走ってさらうこともできたかもしれない。

自分がある種の他者に対しては「加害者」になれることを意識していなかった為に起きた通報であったとも言えると思います。

人はしばしば自分の「加害者性」を忘れがちです。もしくは自分は加害をする気がないから大丈夫だと思っている。しかし、「害を与えられる」と言うこと自体がしばしば恐怖を与えること、それを意識するが不審者の問題に限らず、あらゆる関係性を考える上で大事なのではないでしょうか。

作品と自分の過去のリンクからそんなことを思いました。

ご機嫌よう。

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